安すぎではない官僚の給料!人事院が主張する“民間水準”のカラクリ

官僚給料安すぎ
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  • 給料が安すぎて東大卒でもなり手がいない
  • 仕事量に対して割に合わない
  • 国会中は家に帰れない

等々、官僚あるあるでどれも間違っていません。

しかし、給料が安すぎるという点において本当なのでしょうか?

確かに、仕事の大変さに対しての対価が低いのは公務員全般に言えることです。

ですが、実際に給与額だけで見た場合、本当に世間一般の人達と比較して給料が安すぎるのか気になると思います。

今回は、官僚の給料が安すぎるのか?についてまとめています。

目次
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年収比較 官僚(国家公務員)VS民間企業

官僚と民間企業の年収とそれを12ヶ月で割った月収の比較です。

国家公務員民間企業
平均年収約681万円約443万円
平均月収約57万円約36万円

いかがでしょう。もちろん年齢や性別、階級などにより給料は大きく異なりますが、国会公務員の収入は民間企業のそれと比較する20万円近くの差があります。

そのため、決して官僚の給料は安すぎとはいえません。

なぜ官僚の給料は上がり続けるのか?

なぜ官僚の給料は上がり続けるのか?というと、その答えは“民間企業の水準”に合わせているからです。

しかし日本の企業の99.7%は中小企業であり、そのうちの約85%は零細企業。

果たして民間企業に勤めている人でこの2年間で給料が上がった人はどのくらいいるのでしょうか?

おそらく、ほとんどの人は変わらないか、もしくは下がった。あるいは職を失ったケースもあると思います。

一方、一般職の国家公務員の給与は2年連続で増額されています。

さて、ここで多くの人は“民間企業の水準”とは何なのか?実情とかけ離れているのではないか?と思われるのではないでしょうか。

官僚の給料は人事院勧告で決まる

官僚の給料は、人事院勧告によって決まります。

人事院の公式サイトによれば、人事院勧告について以下のように説明されています。

人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能を有するものであり、常勤の国家公務員の給与水準を常勤の民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
 人事院は、国家公務員の給与等勤務条件の決定について、法定すべき基本的事項は国会及び内閣に対する勧告により、具体的基準は法律の委任に基づく人事院規則の制定・改廃により、その責務を適切に果たすよう努めています。

引用 人事院

イマイチよくわかりません。。

ズバリ、人事院勧告とは国家公務員の給与水準を民間企業の給与水準に合わせることです。

国家公務員は労働基本権に制約があるため、自らが「給料上げてくれ!」と声を上げることができません。

そこで、国家公務員に代わって人事院が国会と内閣「民間企業の水準と同じするべきです!」と勧告する制度、それが人事院勧告です。

2023年8月に人事院勧告

引用 日本経済新聞

2023年8月に人事院勧告が出されました。

一般職の国家公務員の給与にて、月収を約2.7%の引き上げ勧告。

そのうち毎月の基本給を引き上げるベースアップ相当分は3869円。

これにより年間平均給与は10万5000円増額し、約673万円になります。

ちなみに、人事院勧告は官僚など国家公務員の給与に対して出されるものですが、地方公務員の給与改定にも影響を与えます。

つまり、2023年の勧告は公務員全体の給料が上がることを意味します。

人事院勧告が参考にする“民間企業の給与水準”

人事院が参考にする民間企業の規模は、従業員数50名以上の中小企業です。

確かに日本の企業の99.7%は中小企業です。しかし、そのうちの約85%は零細企業。

つまり、人事院が参考にしている“民間企業の給与水準”というのは、多くの零細企業で働いているいわゆる“庶民”の給与水準とはかけ離れているんです。

民間企業の給与を参考にしている感覚が得にくいのは、国家公務員の給与を算出する際の対象となる民間企業は、従業員が50名以上の会社に限定されているからです。

総務省のデータ(令和3年経済センサス‐活動調査産業横断的集計)によると、従業員50人以上の事務所は全体の6%未満です。

世間的には「民間企業=中小企業」ですので、従業員50名以上の会社の給与を参考にしている国家公務員の給与は、イメージしている額よりも多いと感じるかもしれません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9efc4388477d5744e3550aad03fb02790524a0a0

以下は、中小企業と零細企業の違いです。

中小企業

業種常用使用する従業員数
a.製造業・建設業・運輸業
b~dを除く他業種
300人以下
b.卸売業100人以下
c.サービス業100人以下
d.小売業50人以下
参考 中小企業庁

零細企業

業種常時使用する従業員数
製造業・建設業・運輸業・他業種20人以下
卸売業・サービス業・小売業5人以下
参考 中小企業庁

人事院勧告は官僚が決めている

人事院が参考にしている“民間の給与水準”が庶民の給与水準とかけ離れていることは、説明した通りです。

そこで、さらに気になるのは人事院勧告を作っているのは誰か?です。

人事院は行政機関の一つですが、公正中立の立場にあります。

人事院(じんじいん、英語: National Personnel Authority、略称: NPA)は、日本の行政機関のひとつ。国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保し、労働基本権制約の代償機能を果たすため、人事院規則の制定・改廃、不利益処分審査の判定、給与に関する勧告等を行う行政委員会である。

引用 Wikipedia

とはいえ、人事院の職員は国会公務員=官僚という事実もあります。

確かに実際に国家公務員の給与水準は、人事院勧告に基づき、国会と内閣が承認することで決定します。

しかし、実情として官僚が官僚の給与を決めているといっても過言ではありません。

そのため、自分たちに不利な給与水準にする理由がないことは明白です。

まとめ

官僚の給料は安すぎ!という声がありますが、多くの庶民はそう思っていません。

確かに国家公務員、中央省庁に勤めている官僚の仕事は深夜に及ぶことも日常です。

そのため、仕事量に対する給与額は銀行員や証券会社などの人と比較すると高いとは言えないでしょう。

しかし、名目賃金は上がっていても物価高騰により、実質賃金は下がっている中で官僚の給料が2年連続で上がっていることに対し、庶民から反発が出るのは仕方ありません。

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